時短勤務なのに残業ばかりはおかしい?違法性は?残業代は支給される?
2024.10.18 2024.11.08
子育て・家庭とのバランスをとるために時短勤務をしているのに、残業ばかりしているワーママが多いのも現実です。何のために時短勤務を選んだのか、これではフルタイム勤務と変わらない。どうして残業ばかりなのかと悩んでいるママも多いでしょう。
時短勤務者に残業をさせるのは違法ではないのか、残業代はきちんと支給されるのか疑問に思っているママへ、断り辛い残業を命じられた場合の対処法もあわせて解説します。
時短勤務なのにどうして残業ばかりになる?
時短勤務をしているのに、残業をしなくてはならない理由について考えてみましょう。保育園のお迎え時間があるワーママは、残業になる度に、お迎えが間に合うかヒヤヒヤしてしましますよね。また、帰宅しても子どもの世話があるため、残業が続けば、心にも体力にも余裕が持てなくなってしまいます。
時短勤務でもフルタイムと同等の業務量
時短勤務で勤務時間が短くなったとしても、業務量がフルタイムのままでは、仕事が時短勤務時間内に終わらずに残業になってしまうのは当然です。業務量が調整できるように上司と相談することをおすすめします。また、どうしても難しい場合は、時短勤務時間内で業務が可能な部署に異動を願い出るのも解決策の一つです。
ワーママの能力やポテンシャルに期待している
産休・育休前にバリキャリで仕事をしていえたワーママに多いのが、会社がワーママの能力やポテンシャルに期待をしている場合です。職場復帰を待っていた会社としては、産前の様な働きと結果を期待していても、勤務時間が短くなっていたら難しいですよね。
ワーママ自身も、期待されていることを感じている、産前の自分ならできていたから頑張ってどうにかするしかないと、自分自身を追い込んでしまうこともあります。しかし、子育てと仕事を両立するために時短勤務を選んで職場復帰をしたのですから、仕事を長く続けるためにも、時短勤務期間の働き方について今一度考えてみると良いでしょう。
ワーママのロールモデルを作りたい
共働き世帯が7割近くに上る現代では、妊娠・出産を経て働く女性が活躍しています。また、優秀なワーママを確保することが企業にとってもメリットが大きいため、社内で理想的なワーママのロールモデルを作りたいと考えている企業もあり、その結果、残業が増えてしまうというケースも考えられます。
残業は美徳だと考えている社風
時短勤務に限らず、従業員は残業するのが当たり前。定時以降にどれだけ残業をするかで、やる気を測る。残業は愛社精神であり美徳だと考えている、古い体質の会社もまだまだ残っています。
残業が当たり前の会社だと分かっている場合は、育休が明けるタイミングか、時短勤務で職場復帰後に転職することで、残業が少ない会社で育児と両立がしやすくなります。
時短勤務なのに残業させるのは違法?
時短勤務は法律で認められていることから、時短勤務をしているワーママに対して、会社が残業を命じること・残業をさせることに対して違法性がないか気になる人も多いでしょう。しかし、時短勤務者に残業を命じることに違法性はありません。
時短勤務が法的に認められているのは、育児や介護による所定労働時間を短くすることであり、時短勤務の始業時間前、就業時間後の残業については、規制していません。育児とのバランスを考えて時短勤務をしているのに、これではフルタイム勤務と同じ、時短勤務なのに残業ばかりさせるなんて不公平だと感じる人もいるでしょう。
育児を理由とする時短勤務とは
労働者が申し出るとこにより、1日の所定労働時間を原則6時間とすることが会社には義務付けられています。
時短勤務の要件
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3歳に満たない子を養育している
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時短勤務の期間中に育児休業をしていない
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日々雇い入れられる者ではない
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1日の所定労働時間が6時間を超えている
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以下のいずれかに該当する労働者について時短勤務の適用除外とする労使協定が締結されていない
時短勤務の残業が違法になる場合は?
時短勤務の残業において、どんな場合が違法になるのか解説します。時短勤務をしている労働者に残業を命じることは違法ではありませんが、残業命令の内容が違法であれば断ることができます。
法廷労働時間または36協定の上限を超える残業は違法
法定労働時間と36協定(サブロク協定)という言葉を聞いたことはありませんか。法定労働時間・36協定の残業時間が超える場合は、時短勤務だけでなくフルタイム勤務の場合でも違法になります。
法定労働時間は労働基準法第32条により定められていて、1日に8時間もしくは1週間に40時間を超えた労働をさせることはできません。時短勤務をしているワーママが、1日6時間勤務をしている場合、残業が2時間発生し、1日の労働時間がフルタイム勤務の人と同じ8時間になっても違法性はありません。
また、36協定を労使間で締結している場合、労働時間の上限が引き上がり、月45時間・年360時間が上限になります。ポイント36協定は時短勤務中のワーママにも適用されますが、これを超えた残業は違法となり、労働者は断ることができます。
免除請求をした時短勤務のワーママに残業させるのは違法
ワーママに限らず育児をするパパや、家族の介護をするために時短勤務をしている労働者が、残業を免除する制度を請求することができ、残業免除に請求が認められます。残業免除には3種類あり、時短勤務の要件を満たす人は対象になっています。時短勤務でなくフルタイム勤務の人も要件を満たしていれば請求することが可能です。しかし、事業の正常な運営を妨げる場合は認められません。
所定労働時間の制限
育児介護休業法16条の8により、労使協定により除外されている労働者を除く、3歳に満たない子を養育する労働者・要介護状態にある対象家族を介護している労働者は、所定労働時間を超える労働をさせないよう請求ができます。
時間外労働の制限
育児介護休業法17条により、労使協定により除外されている労働者を除く、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者・要介護状態にある対象家族を介護している労働者は、月24時間・年150時間を超えて労働時間を延長させないよう請求することができます。ワーママにとっては、子どもが小学校入学までというのがポイントになります。
深夜残業の制限
育児介護休業法19条により、労使協定により除外されている労働者を除く、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者・要介護状態にある対象家族を介護している労働者は、深夜残業(午後10時から午前5時)をさせないよう請求することができます。所定労働時間の制限・時間外労働の制限における労使協定除外にさらに2点の条件が追加されます。
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所定労働時間の全部が深夜にあたる労働者
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深夜に保育または介護などできるなどの条件を満たす16歳以上の同居家族のいる労働者
時短勤務でも残業代は支払われる?
時短勤務しているワーママが残業した場合、残業代はどうなるのか気になりますよね。例えば、ワーママの時短勤務で多い9時に始業し就業が16時になる場合に2時間残業をしたケースで考えてみましょう。
結論からお伝えすると、時短勤務であっても残業をすれば残業代は支給されます。そのため残業代が支払われない場合は、フルタイム勤務をしている社員と同様に違法です。
時短勤務をしているのだから残業をしても、残業代を払わないと会社側が主張をするのは違法です。時短勤務をしているワーママのなかには、残業をしても仕事が終わらない、保育園のお迎えに間に合わなくなるから残業ができない分、自宅に持ち帰って仕事を使用と考えたり、会社側がそうすることを遠回しに支持することも持ち帰り残業といい、残業代が発生します。時短勤務をしているから、残業代が支払われないのは仕方がないと思っているのは、間違いです。
時短勤務の残業代の割増手当は?
時短勤務であっても残業代は支払われますが、残業の割増手当が付かないことがあります。16時までの勤務としているワーママが18時まで残業をした場合、2時間分の残業代は支払われますが、法定時間内であるため、割増手当はつきません。もちろん、法定時間を過ぎた分の残業代には割増手当がつきます。
残業代で割増手当がつくのは、法定時間を超えて残業をする場合で、割増手当は1.25倍と定められています。フルタイム勤務をしてい頃に、給与明細を見ると、基本給は少ないが残業代が多く、残業代があるから生活が少し楽になる、趣味にお金が使えるというワーママもいたでしょう。
しかしそれは、残業代の割増手当がついていたからです。時短勤務をして残業をしても、残業代に割増手当が付かないのであれば、割に合わないと感じるワーママも多くいます。残業をして時短勤務通りの給与より多少増えたとしても、割増手当もない、残業のために保育園の延長料金などが発生するとなると、支出の方が収入より多くなることもあるでしょう。
時短ワーママ残業の悩みと注意点
時短勤務なのに残業ばかりだと、時短勤務を選んだ意味がなくなってしまいますよね。時短勤務で残業続きのワーママの悩みに関する注意点をご紹介します。
子どもが3歳を過ぎると所定外労働の免除申請ができない
所定外労働時間の免除の申請の要件は、時短勤務と同様に子どもが3歳になるまでです。が3歳を過ぎると残業の免除申請ができなくなる会社がほとんどです。
また、3歳未満であっても、残業の免除申請は産休・育児休暇申請などと手続きが異なり、労働者と雇用主が直接交わすこととなるため、ワーママ本人だけでなく会社側も理解や手続きに関するが知識が乏しいこともあります。
ワーママを率先して雇用している企業によっては、子供が3歳を過ぎた後も残業の免除を独自の社内規則として導入している場合もあります。
会社から理解を得られない苦悩
時短勤務だけでなくワーママの悩みで一番多いのは、上司や同僚などから理解を得られないことではないでしょうか。子どもがいる場合、幼ければ幼いほど、ワーママが残業をすることは子供にも負担が掛かります。
子どもがいるのはわかっているけれど、みんなが残業しているのだから、ワーママも残業するべき。時短勤務なら、もう少し残業できるだろうというような、理解のない言葉や空気に苦しんでいるワーママは多くいます。
子どもがいるから残業は絶対にできない、時短勤務なのだから30分でも残業はできないとワーママが主張し過ぎるのは、空気を悪くしますが、そうではないのに、時短勤務であっても残業をするべきという環境では、仕事を続けることも難しく感じてしまうでしょう。
残業ばかりの毎日を変える方法・打開策
時短勤務の場合、あまりに残業ばかりだと感じるのならば、早めに対策をしましょう。ワーママ自身が、時短勤務なのだから仕方ないと諦めて残業を続けている場合、会社は、本人が残業を嫌がっていない・自ら進んで残業をしてくれていると誤解をしていることもあります。
先輩ワーママに相談をする
もし社内に先輩のワーママがいる場合、相談をしてみるのもおすすめです。子育て・時短勤務を経験しているワーママならよいアドバイスをくれることもあるでしょう。
残業の上手な断り方、誰に相談をするとよいか、残業が続く日の家事のアドバイスなど、経験者だからこそ話してくれることも多そうです。社内にいなくてもママ友に相談するのもよいでしょう。同じ立場の人と悩みを共有することで、ママの気持ちも軽くなることもあります。
上司に相談をする
時短勤務時間内で、どうしても業務が終わらない場合や、毎日残業をしないとならない場合は、上司に相談をしてみましょう。業務量の調整や、分担など効率化を改善することができるかも知れません。また必要に応じて部署異動などの検討も。
しかし、会社によっては簡単に業務改善に取り組んでもらえる保証はないため、職場復帰前面談時にしっかりコミュニケーションをとりながら、ワーママの気持ちを伝えることが大切です。職場復帰前面談の時の話と違う、どうしても今の状態が改善されないということもありますが、一度、相談をしてみましょう。
時短勤務からフルタイムに切り替える
あまりにも残業ばかりの場合、時短勤務からフルタイム勤務に切り替えるのも打開策の一つです。単純に勤務時間が増えるので、業務時間が増え残業は減ります。また、フルタイム勤務で残業になった場合は、残業代の割増があります。
しかし、保育園や幼稚園の延長保育などの都合で、子どもを預かってもらえない場合は、フルタイム勤務はできない現実があります。また、子どもを預かってもらえる場合であっても、子どもとの時間を大切にしたいと考えて時短勤務を選択しているいるワーママにとっては、時短勤務からフルタイムに切り替えるという方法は、適切ではないでしょう。
労働者の権利として労働基準監督署に相談をする
残業免除申請をしたのに、残業を強要される。残業免除の申請を会社が認めない。時短勤務であることを理由に残業代が支払われない場合は、会社を法的に訴えることもできます。
その場合、厚生労働省が管轄している労働基準監督署にまず相談することになります。会社が違法行為を行っている場合は、労働者を守るために会社に指導をしてくれますが、時間が掛かること、会社からよいイメージを持たれないことが多いでしょう。
労働者の権利として、違法な行為に対して正しい行動をしたことが原因で、不利益な扱いを受ける、嫌なことをされる、居心地が悪くなってしまったというケースもありますので、最終手段だといえます。
残業ばかりなら転職するのもアリ!転職先の選び方
上司に相談しても残業が減らない、残業代が支払われないのであれば、残業が少ない会社に転職するのがおすすめです。転職で失敗しないためにも、転職先選びは大切です。残業ばかりと悩んでいるワーママが転職で会社を選ぶポイントをご紹介します。
定時退社を推奨している会社
残業は社会人の美徳ではない。この一言に尽きます。基本的に定時退社を推奨している会社では残業は、少ないでしょう。
定時退勤であれば、やむを得ず、たまに発生する時短勤務のワーママでも残業の負担も少なくなりますし、時短勤務なのに残業ばかりでフルタイムと変わらないという不満もなくなりますよね。
子どもが3歳以降も残業免除申請を受付ている会社
残業免除申請は、子どもが3歳になるまでとなっていますが、4歳になっても小学校に入学しても、子どもが自分である程度のことができるようになる年齢まで、残業は避けたいと思うワーママは多くいます。
会社によっては、子どもが3歳以降でも柔軟に残業免除申請を受付けるという独自の働き方を導入しているケースもあります。残業免除は、小さな子どもがいるワーママだけなく、家族の介護や本人の体調などでも申請することができるので、将来を見据えて長く働きやすい環境の会社だと考えることができます。
ワーママ・働く女性の多い会社
ワーママや子育て経験者の女性が多い会社であれば、時短勤務の重要性や残業の大変さを理解してもらいやすい環境と考えられます。ワーママが働きやすい環境というのは、かいしゃだけでなく家庭の状況によっても異なりますが、すでにワーママが多い会社では、モデルケースが多いため、働く女性に対しての理解・子育てをしながら仕事を続けるための環境づくりを整備している会社が多い傾向にあります。
また、同じワーママ・子育て経験者として、困ったときはお互い様の思いやりの気持ちで、お互いの仕事をフォローできるような職場環境が望める可能性も大きいでしょう。
在宅勤務・テレワークを導入している会社
通勤時間がない在宅勤務やテレワークであれば、時短勤務で仕事をしていて残業になったとしても、出社と比較して、保育園のお迎え時間に焦る、家事ができないなどの負担が少ないと考えられます。
完全在宅勤務・完全リモートワークでないとしても、週に1~2回でも在宅勤務が可能であれば助かるというワーママは多いのではないでしょうか。残業の悩みを抜きにしても、在宅勤務・テレワークは、ワーママにとって時間を有効活用できるためとても人気です。
フレックスタイム制を導入している会社
ワーママがワークライフバランスを図りやすいのは、在宅勤務やテレワークだけではありません。フレックス制を導入している多くの会社では、コアタイムを設けていますが、始業・終業じかんを労働者本人が決めることができることができ、残業になりそうだと分かっている場合は、始業時間を早める、パパや家族の帰宅が早い日に仕事をスライドするなど、ワーママ自身で調整することも可能です。
フレックス制を導入している会社の場合は、ワーママだけが対象ではなく、全社員が対象となっていることが多いことから、ワーママだけ特別扱いをしているというような偏った声もなく、一人一人が自由を尊重し合える環境です。また、フレックス制であれば時間の融通も利くことから、時短勤務ではなくフルタイムで働くことを考えているワーママにもおすすめです。
時短勤務なのに残業ばかりで悩んだらmamacharmキャリアへ
mamacharmキャリアに多く寄せられているご相談例
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時短勤務で転職をしたいが、そんな会社あるの?
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職場復帰したけれどマミートラックで悔しい思いをしている
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ワーママだけど、自分のキャリアも諦めたくない
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小1の壁で、正社員を辞めるしかないのか悩んでいる
実際にワーママが転職をするのは、厳しいと言われています。それは、ワーママと子育てに対する企業の理解と経験のなさからと考えられます。
mamacharmが運営している転職エージェントのmamacharmキャリア(ママチャームキャリア)は、ママが笑顔で輝ける職場をご紹介することを大切にしています。そのため、一般的な転職エージェントとは異なり、ワーママ向けの転職エージェントです。
面接に行ってみたら、求人の内容と異なっていた。入社してみたら前の会社の方がよかったなど、転職で失敗しないために、mamacharmキャリアのキャリアカウンセラーが、あなたに代わって、質問しにくいことを確認します。残業の有無、気になる年収、子どもの急な体調不良のときにどういった対応が可能なのかなど、何でもご相談くださいね。