【ワーママ転職面接のリアル】採用される人と落ちる人の違い

2025.02.10 2025.02.26

面接で自分の魅力を伝えるつもりが、企業の期待とズレてしまい不採用になってしまったと後悔しているワーママは多くいます。今回は、武内製薬株式会社で長年採用業務を担っている、取締役副社長の塚越崇人氏に、実際の面接で落ちる人と受かる人の特徴を詳しくお伺いしました。ワーママ転職の面接のギャップを埋め、採用に繋がる、転職で成功するための具体的なヒントをインタビュー形式でご紹介いたします。

塚越崇人氏プロフィール

    武内製薬株式会社 取締役副社長。
    早稲田大学法学部卒業後、2014年に三菱商事株式会社に入社。三菱商事在籍時に武内製薬株式会社への出資を立案。案件精査中に同社に対し魅力を感じるようになり2018年に同社への参画を決断。入社時から取締役として人事の決裁権を持ち、全ての最終面接を担当。

採用のプロフェッショナルが語る面接で受かる人・落ちる人

塚越氏:武内製薬は売上高50億円、社員数100名の設立10年程のベンチャー企業ですが、これまで総勢1,000名を超える採用面接を行ってきました。ワーママの採用も積極的に行っており、社員の1割ほどは子育てをしながら仕事をされている方です。
今日は面接で受かる人と落ちる人の特徴や違いをを採用の現場から得られたリアルな視点でお話させていただきます。

採用面接で落ちるワーママの特徴や共通点

インタビュアー:面接で落ちるワーママの特徴をや具体的な内容をご質問していきたいと思います。よしくお願いします。

自己中心的な条件提示

インタビュアー:面接で残念ながら採用に至らなかったワーママの方には、どのような共通点があるのでしょうか?

塚越氏:まず最も多いのが、自己中心的な条件提示に偏ってしまうケースです。もちろん、ワーママの方々には家庭の事情や制約があることは十分理解しています。しかし、会社で働く上ではお互いが歩み寄ることが求められます。

例えば、どうしても残業はできません・子どもの行事が多いので頻繁に休みます等と、一方的に条件だけを伝えられるケースがよくあります。このような話し方だと、企業側としてはこの人とチームでうまくやっていけるのか不安に感じてしまいます。もちろん、条件を伝えること自体は悪いことではありません。ただ、それだけでは、柔軟性に欠けている印象を与えてしまいます。

子どもの事情で残業が難しい場合がありますが、その分、定時内で効率的に仕事を進める工夫をしています。と提案する形で話せると全く違った印象になります。また、チームメンバーと連携を取りながら、繁忙期にも協力できるように努めます。等、前向きな姿勢を見せることも重要です。

企業は、制約があること自体を問題視するのではなく、その課題に対してどう向き合い、解決しようとしているのかを見ています。具体的な提案や対策を面接で示すことができれば、条件があっても前向きに受け止められるでしょう。

具体性の欠如

インタビュアー:他に、面接で落ちる理由としてよく見られる特徴はありますか?

塚越氏:次に多いのは具体性の欠如です。これは非常にもったいないケースです。例えば、どのような業務を担当されていたかという質問に対して、事務をしていました。と答えられる方がいます。この回答では、私たち採用担当者はその人のスキルや強みをイメージすることができません。

具体性が欠けると、この人はどの業務に適しているのか・どの程度のスキルを持っているのか等が、全く伝わってきません。一方で、具体性を持たせることで印象は大きく変わります。例えば、Excelを使って1日200件以上のデータ入力を担当し、効率化のためにマクロを提案して業務のスピードを20%向上させました。という回答なら、具体的なスキルや成果がはっきりと伝わります。

このように、過去の経験を数値や具体的なエピソードと結びつけて話すことで、採用担当者がこの人は即戦力になりそうだと判断しやすくなります。また、課題の発見から業務の改善点を盛り込むと、積極的に仕事に取り組む姿勢が見えるため、さらに評価が高まると思います。

質問の意図を読み取れない

インタビュアー:自己中心的な条件提示・具体性の欠如以外に気を付けるべき点はありますか?

塚越氏:質問の意図を読み取れないケースも課題ですね。たとえば、なぜ当社を選んだのかという質問しに対して、家から近い・育児に理解があると思った。等の回答だけで終わってしまうことがあります。このような回答だと、志望動機が弱く感じられ、この人は本当にこの会社で働きたいのだろうか?と、疑問を抱かれてしまいます。

もちろん、子育て中の女性が転職・就職活動をする上でそのような理由も大切ですが、それに加えて企業への興味自分のキャリアとの関連性を伝えることが重要です。例えば、御社の○○事業に強く共感し、自分の○○の経験を活かせると感じていま。と話すと、具体的な熱意が伝わります。

また、企業の理念や価値観に触れると、より深い志望動機が伝わりやすくなります。この会社で働きたい理由自分がどう貢献できるかをリンクさせることで、強い印象を残すことができると思います。

ネガティブな理由を強調する

インタビュアー:他に面接で落ちる理由としてよく見られる特徴はありますか?

塚越氏:ネガティブな理由を強調することも、非常に残念なケースです。例えば、なぜ転職を希望しているのですか?という質問に対して、職場環境が悪かったので辞めました・司とそりが合いませんでした。等といった答えをされる方がいます。このような答え方では、面接官にこの人は人間関係のトラブルを抱える可能性があるのではないか。という印象を与えてしまいます。

企業側は、職場の調和を保てる人材を求めているため、ネガティブな理由をそのまま伝えるのは避けることが賢明です。転職理由やこれまでの課題について話す場合でも、ポジティブな視点を意識してください。具体的には、より成長できる環境を求めて転職を決意しました・自分のスキルを活かせる新しい挑戦をしたいと思いました。という形で話せば、前向きな姿勢をアピールできます。

面接では、自分が過去に経験した困難やトラブルを強調するよりも、その経験をどう乗り越え、学びを得たかを伝えることが重要です。言い換えるのであれば、以前、職場でコミュニケーションの課題を感じたため、積極的に意見交換を行い、改善に努めました。といった形で、課題を成長のきっかけとして捉えられる人は、企業側からも高く評価されます。

曖昧な働き方の意欲

インタビュアー:他に注意すべき特徴はありますか?

塚越氏:曖昧な働き方の意欲も、面接でマイナスの印象を与えるポイントです。例えば、とりあえず働けるところを探している。といった発言や、どんな仕事でも構いません。と漠然とした答えをする方がいます。一見柔軟性があるように聞こえますが、実際には、この人は具体的にどのように貢献してくれるのかが伝わらず、企業にとって採用の判断材料に欠ける回答となってしまいます。

企業側は、応募者が自分の意欲や働き方のビジョンをしっかりと持っていることを期待しています。例えば、これまでの事務経験を活かして、データ管理やスケジュール調整など、正確さが求められる業務に貢献したい。と具体的な職務内容を述べると、面接官にも、この人は会社にフィットしそうだと、好印象を持ってもらえます。

また、働き方の希望を伝える際にも、子育てとの両立を重視していますが、定時内で効率的に業務をこなすことで貢献したい。といった形で具体性を持たせることが大切です。働き方に関する質問では、自分の希望をただ述べるだけでなく、企業が求める働き方にどう対応できるかを説明することが求められます。曖昧な答えではなく、自分の意欲や目指す働き方を具体的に話すことで、企業側に安心感を与えることができます。

採用面接で受かるワーママの特徴や共通点

インタビュアー:面接で、この人はぜひ採用したい!と感じるワーママにはどのような共通点がありますか?

ポジティブで具体的な視点を持っている

塚越氏:一番大きなポイントとして、ポジティブで具体的な視点を持っている人は非常に評価が高いですね。例えば、育児を通じて得た経験を仕事のスキルに活かせると捉える視点がある方は、企業側からの印象がとても良いです。例えば、育児を通じて、限られた時間で効率的にタスクをこなす力が身につきました。その経験を仕事でも活かせると考えています。と話すと、時間管理能力やタスク処理能力が伝わります。これは、多くの企業が求めている効率性や自己管理能力に直結するスキルです。

また、家庭での経験を具体的なエピソードとして語れることも大切です。ある応募者は、PTA活動の際、イベントの計画から運営までを担当し、20人以上のメンバーと連携して成功させました。と話されました。このように、自分がリーダーシップを発揮したり、チームワークを活かした実績を説明すると、育児中でも成長し続けていることが伝わります。ポジティブな姿勢と具体的なエピソードがあれば、面接官にこの人と一緒に働きたい。と思わせることができます。

企業のニーズに自分を合わせる努力をしている

インタビュアー:なるほど、ポジティブな視点は重要なんですね。他に、面接で受かるワーママに共通する特徴はありますか?

塚越氏: 次に挙げられるのは、企業のニーズに自分を合わせる努力をしている人です。企業は基本的に、自分たちが抱えている課題を解決してくれる人材を求めています。そのため、事前に企業研究を行い、自分のスキルや経験をその企業のニーズに合わせてアピールできるかが、鍵になります。

弊社で例えると、データの正確な管理が重要な業務の一つですが、過去の面接で、私はExcelを使ったデータ入力で、ミスを減らすためにダブルチェックの仕組みを導入し、精度を向上させました。と話された方がいました。このように、自分が企業にどのように貢献できるかを具体的に説明できる人は、面接官に強い印象を残します。

また、御社の○○プロジェクトに興味があり、私のスキルで貢献できる部分があると思いました。といった発言をすることで、企業が求めている人材像に自分を当てはめていることを伝えることができます。企業にとっては、この人を採用したら、どのような課題が解決するのか。が、最も重要なポイントです。そのため、自分のスキルを企業の課題やニーズに関連付けて説明することができれば、採用の可能性は大幅に高まります。

柔軟性を持ちチームプレーヤーであることを示す

インタビュアー:企業が求める人材像に自分を合わせる努力が大事なんですね。他には、どんな特徴が採用したいと思わせるポイントになりますか?

塚越氏:柔軟性があり、チームで働く姿勢を持っている人も非常に評価が高いです。子育てをしていると、突発的な事情で予定が変わることも多いですが、それをどう乗り越えていくかが大事です。

例えば、子どもの体調不良で急に予定が変更になることがありましたが、その際は事前に代替案を考え、家族や周囲と連携して対応しました。といった経験を話される方は、とても印象が良いですね。また、チームでの協力を重視する発言もポイントです。例えば、過去の職場では、同僚と業務を分担しながらプロジェクトの納期を守るために努力しました。といった具体例を交えることで、この人は他のメンバーとうまく連携して仕事ができそうだ。と思わせることができます。

企業側は個人のスキルだけでなく、チームの一員としてどれだけ貢献できるかも重視します。そのため、自分の経験を通じて柔軟性協調性をアピールすることは非常に効果的です。

自己改善の意識が高い

インタビュアー:チームでの協力や柔軟性も重要ですね。では、他に面接で受かる人の特徴はありますか?

塚越さん: 自己改善の意識が高い方も非常に評価されます。例えば、時間を有効活用するために、育児中にオンライン講座でExcelスキルを磨いています。と話された方がいました。このような姿勢は、この人は成長し続ける意欲を持ってい」と面接官に伝わり、非常に好印象です。企業は即戦力だけでなく、将来的にどれだけ成長できるかも重視しています。

さらに、家庭での経験を活かし、学びを深めていますという言葉を添えると、子育て経験を前向きに捉えていることが伝わります。例えば、家計管理の中で簿記の勉強を始めました・子どものスケジュール管理を通じて、効率的なタスク処理の方法を学びました。といった形です。

自己改善の具体的なエピソードを話すことで、採用担当者は、この人は常に成長しようとする意欲を持っている。と判断します。企業が求めるのは、単なる経験者ではなく学び続ける人材なので、この点をアピールすることで面接の結果に大きな影響を与えることができます。

企業の価値観に共感している

インタビュアー:最後に、その他に採用したいと思わせるワーママの特徴を教えていただけますか?

塚越氏:企業の価値観に共感している人は、特に印象が良いですね。具体例として、御社の社会貢献という理念に共感しました。私も家庭の中で、子どもに環境問題への意識を教える活動をしており、そうした価値観を共有できる職場で働きたいと思っています。と話された方がいました。

このように、企業の理念やプロジェクトに関心を持ち、それを自分の経験や価値観と結びつけて話すと非常に強い印象を与えます。企業は、スキルだけでなく、この人と一緒に働くことで、企業が成長するかどうかを見ています。そのため、企業研究を深く行い、なぜその会社で働きたいのかを具体的に説明が出来る人は、他の応募者よりも一歩リードできます。

ワーママ転職!面接の成功は準備と意識で決まる

インタビュアー:現在、転職・就職活動をしているワーママの皆さんへ、アドバイスをお願いいたします。

塚越氏:面接に臨む際に大切なのは、しっかりと準備をして、自分の強みを具体的に伝える意識を持つことです。これまでの経験やスキルを曖昧な形で話してしまうと、面接官にあなたの魅力が伝わりません。

例えば、事務をやっていましたという一言ではなく、Excelを使って○○件のデータを管理し、業務効率化を図りました。等、具体的な数値や実績を準備しておくことが鍵です。また、志望動機も、自宅から近いから・柔軟な働き方ができそうだから。だけでは弱い印象になります。企業のビジョンやプロジェクトに触れた具体的な理由を伝えられるよう、事前に企業研究をしっかり行いましょう。

さらに、子育てを理由にして制約を強調しすぎるのではなく、その制約をどう乗り越え、企業に貢献できるかを前向きに考える姿勢を示すことも重要です。そして、面接では柔軟性や協調性をアピールすることも大切です。特に子育て経験をプラスの要素として活かし、それをスキルや強みに転換して伝えられると、面接官の心に響きます。
最後に、面接は自分を評価してもらう場という一方通行ではありません。お互いを知る場として、準備をしっかりと整え、自信を持って臨んでください。